
妄想喫茶。【国語】
からんからん。
「マスター?」:アケミちゃん。
「ん-?」:マスター。
「朝刊、ここに置いておきますから。」アケミちゃん。
「うん。」:マスター。
「てか。最近、遅刻もなく頑張ってるじゃない。」:マスター。
「夢があるんです。」:アケミちゃん。
「私も、いつかお店出そうって思って。」:アケミちゃん。
「なになに? 何のお店?」:マスター。
「ここのお店みたいな、素敵な喫茶店。」:アケミちゃん。
「は? 喫茶店?」:マスター。
「喫茶店?」:マスター。
「うん。」:アケミちゃん。
「朝陽が入って。新聞とか読みながら。これから出勤なおとうさんとかいっぱい来てー。」夢見るアケミちゃん。
あ、お客さん。
からんからん。
「いつもので。」:お客さん。
「アメリカンね。」:マスター。
カウンターにコーヒーサーバーを運ぶマスター。
新調の金のスプーンがソーサーの上できらりと輝く。
「はいどうぞ。」マスター。
「わっ。素敵な時計ですねー☆」:アケミちゃん。
「はははこれね。嫁さんがミラノで買ってきて。」:お客さん。
「海外のお仕事とかなさってるんですか?」:アケミちゃん。
「いちおう、CAやってて。うちの嫁。」:お客さん。
「昔のことなんだけどね。」:お客さん。
「気に入ったんだって。」:アメリカンをすするお客さん。
「へー。いいなー。」:アケミちゃん。
「てかさー? アケミちゃん。」:マスター。
「いつ辞めるわけ? 寂しくなるなぁ。」:マスター。
「ちょっと待っててね。」:マスター。
「はいこれ今週号。結構いいの載ってたよ?」:マスター。
「なんですか?」:アケミちゃん。
「FromAくらいしってるだろ?」:マスター。
「見聞を広めないとね。」:マスター。
「夢は見てるだけじゃダメなんだぞ。」:マスター。
「あ。大谷翔平がまた打ってる。」:マスター。
「わー。」:アケミちゃん。
「どうしよー。^^」アケミちゃん。
「何喜んでんだ?」:マスター。
「やっぱ、世界展開かな?」アケミちゃん。
そうだ夢を見ろ夢を。
「夢はでっかく。」:アケミちゃん。
「そだね。夢見て喜んでるうちはまだガキレベルだもんね。」:マスター。
「年間MVP獲れるくらい頑張るって、とっても難しいからね。」:マスター。
「あの。」:お客さん。
「新聞いいですか?」:お客さん。
「打倒スタバ!」:アケミちゃん。
「は?」:マスターとお客さん。

